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【常勤役員コラム】西日本豪雨から思うこと

2018年08月23日コラム

7月上旬、数十年に一度の災害が見込まれるということで、気象庁から11府県に及ぶ「特別警報」が発表され、この予測を上回る豪雨が西日本を襲い、広い地域で未曾有(みぞう)の大災害が発生しました。被災を受けた方、地域の皆様に改めてお見舞い申し上げます。

 当JA管内では、昭和39年6月の「新潟地震」や昭和41年7月の「下越水害」、翌42年8月の「羽越水害」、平成7年4月1日の「新潟県北部地震」など、過去に幾度もの地震や豪雨による大災害に見舞われてきました。最近の気象状況や断層の活動状況などを踏まえると、災害はいつどこで起きるかわからないという意識のもと、「自分のところは大丈夫だろう」という思い込みを捨て、一人ひとりが災害への備えを講じることが必要です。自然の威力は絶大で、地震や豪雪、豪雨などを防ぐことは困難ですが、その被害(特に人命)を最小限に抑えるために、前述の意識と備えを講じておくことと、発生時において「自分の命は自分で守る」〝自助″と、「地域の人同士が助け合い、支え合う」〝共助″が重要だと考えています。

 話は変わりますが、先日東京で開催された「自己改革の完遂に向けた政策確立全国大会」で、来賓の自由民主党幹事長は「地元からJAがなくなったら、農業も地域もなくなる。JAはそれくらいなくてはならない組織である。准組合員の規制や信用事業の代理店化などについて、今後の改革の支障になるという不安な声を現場から多く聞いている。我々は、そのようなことを押し付けるつもりは全くない。組合員が判断すればよいことであり、党としてしっかりお約束しておきたいと思う」と言明されました。

 一方で、内閣官房長官は、財界人等の会合で農林水産業を大きく取り上げ、「農業は、守りから攻めへの転換を図った。農協改革を断行し地域の農協が地域の特色を生かせる仕組みを作った。林業では、民間の林地を市町村に集約して大規模化し、意欲がある人には貸し出せる森林バンクを作った。そして水産業は、漁協が強力な権限を持っている養殖の仕組みを、公平で効率的な仕組みに見直すべく法改正をする」と講演の中で発言されました。農業のみならず、国土の基本である林業、そして水産業までも、一部大企業等が参入しやすいように仕組みを変えて行こうとする考え方に大きな不安を感じます。

 東日本大震災で大きな被害を受けた、三陸の水産業の方々は、最初に森林の再生に取り組んだそうです。豪雨による多大な被害を受けて、今までの農林水産業に対する政策がどうだったのか。再度考え直すことが必要ではないでしょうか。

金融共済担当常務理事 藤倉 秀明

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