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キッチン防災術 食べた、その後に【JAコラム】

2019年03月26日コラム

食文化・料理研究家●坂本佳奈

災害が起こると、いつものようにトイレを使うことができなくなります。食べることばかりが注目されがちですが、実は食べた後の行き先を考えることも大切なことです。「トイレにすぐに行けないので水分を控えて脱水症状を起こしてしまった」「清潔でないトイレに行くのが面倒になり、結果ご飯を食べることができなくなった」。大きな災害が起こるたび、ひっそりと、同じようなニュースが流れます。最近では、台風で電柱がなぎ倒され、電気が止まってしまったので水道ポンプが止まり、しばらく水が使えなくなったなどということもありました。

きちんと出すための準備は大きく分けて三つ。出すための食材、出す場所、心理的な障壁があることへの理解です。

排せつするには食物繊維が必要です。野菜、果物、海藻といった食材を用意します。水分や油気も大切です。きちんと野菜を食べているのにお通じが悪いときは油を小さじ1杯程度料理に入れてみてください。おいしい、お好みの油も置いておきます。ごま油やオリーブ油が酸化しにくく、お勧めです。

排せつの場所は自宅が最適でしょう。1回ずつ、防臭のビニール袋に入れて捨てることができるときまで保管します。大事なのは、液体(尿)と固形(便)とを一緒にしないことです。尿は比較的清潔ですが、そこに便が入ると菌が増えて不潔になってしまいます。必要な物はトイレに座って考えてみると、見えてきます。出た物を入れるビニール袋、汚れてしまったときに拭き取るためのティッシュ、塩素やアルコールなど消毒液、使い捨て手袋、大きなごみ袋などなど。

最後に、心理的な障壁。これは災害が来てみないと分からないかもしれません。ここでできるだろうか?

考えてみてください。小さな子どもや高齢者、障害者がいる場合はなおさら「出す」をどうしておくかを平常時に考えておきましょう。

 

JA広報通信3月号より

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