JA北新潟

最新情報NEWS

ご飯のおいしさ「でんぷん」の話【JAコラム】

2019年07月29日コラム

管理栄養士・フードスタイリスト●大槻万須美

 

ご飯のおいしさの決め手である甘味や粘り・食感は、「でんぷん」と深い関係があります。

お米に含まれているでんぷんには「アミロペクチン」と「アミロース」と呼ばれる2種類があります。アミロペクチンには炊くと粘りを出す働きがあり、アミロースにはその働きがないため、アミロペクチンが多いほど粘りが強くなります。餅米はアミロペクチン約100%で、強い粘りが出るのはそのためです。普段私たちが食べているうるち米(ジャポニカ米)は、アミロペクチン80~85%、アミロース15~20%。一方、インドや東南アジアなどで食べられているインディカ米は、アミロペクチン70~75%、アミロース25~30%と、ジャポニカ米に比べてアミロペクチンが少ないため、粘り気が少なく、食感はパラパラとしています。

生米に含まれているでんぷんは硬くて水にも溶けにくい性質を持つ「βでんぷん」と呼ばれる状態のでんぷんで、体にも吸収されにくいのですが、水と一緒に加熱することで水分を吸って軟らかくなり、適度な粘り気が出ておいしく吸収も良い「αでんぷん」へと変化します。ご飯は冷めると再β化(老化)して食味が劣化しますが、老化でんぷんは再加熱するとまたα化します。ちなみに保存食としても知られているα化米は、加水加熱してでんぷんをα化させた後、急速な乾燥処理などの特殊な技術でこの再β化が起こらないように処理されて作られます。

ご飯をかむと甘くなるのはなぜでしょう。でんぷんはブドウ糖が鎖のようにつながった構造をしており、唾液にはこの鎖を切る働きがあります。ブドウ糖は甘い味がするため、ご飯をよくかんで食べることで、口の中でご飯が細かくかみ砕かれて混ぜ合わされ、でんぷんがどんどんブドウ糖になり、甘く感じるというわけです。

 

 

大槻 万須美(おおつき ますみ) 楽しく食べて健康に。食の大切さを正しく伝えるため、ママと乳幼児のための料理教室やアスリートの食事指導、特定保健指導など幅広く活動。

JA広報通信6月号より

カテゴリー
アーカイブ