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おふくろの味とは【JAコラム】

2019年07月30日コラム

食育インストラクター●岡村麻純

 

先日、私の友人が住むシンガポールへ遊びに行きました。4歳と1歳の子どもたちにとっては初めての海外です。そんな中一番不安だったことが子どもたちの食事です。友人によると、シンガポールの食事は特に癖もなく、日本人好みの物が多いとのこと。確かに、しょうゆで鶏肉を煮込んだ物や、焼きそばのような物など、日本食に似ていて食べやすい。それでも、子どもたちにとっては日本食とは違ったようで、あまり食べず、友人が自宅で作ってくれたおにぎりやパン、煮物などを食べていました。

そもそも人がおいしいと感じる要因にはその食べ物の味やにおいの他に、その個人が経験してきた特性や食べるときの環境も含まれることが分かっています。つまり、初めての海外旅行で外国の方に囲まれて食べる緊張感や、初めて食べる料理だという先入観がおいしいと感じる力を弱めてしまっている可能性があります。

しかしながら、日本のおにぎりや煮物を食べたがる子どもたちを見て、1歳の娘に関してはまだ離乳食を開始して1年ほどしかたっていないにもかかわらず、すでに食べ慣れている味、おふくろの味というものが確立しているのだなと感心しました。

このおふくろの味。何となく懐かしい味、ほっとする味にこの言葉が使われます。これは、幼い時期に自分が守られ、安心して食事をしていたときに食べた味に対して感じるといわれています。母乳に含まれるうま味成分ではないかとの話もありますが、日本においては、離乳食を開始した頃、おかゆや野菜のペースト、そしてそれをおだしで溶いた物をあげるのが一般的です。なので、やはりおふくろの味の正体は、おだしなのではと思います。

最終日にはかけうどんが食べたいと言いだした息子。毎日食べている昆布とかつおの混合だしがおふくろの味として身に付いているのだなと少しうれしくなりました。

 

岡村 麻純(おかむら ますみ) 1984年7月31日生まれ。お茶の水女子大学卒。大学で4年間食物科学を学び、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。

公式ブログ:http://ameblo.jp/masumiokamura/

JA広報通信6月号より

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