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野菜もの知り百科 アスパラガス【JAコラム】

2020年04月28日コラム

土壌医●藤巻久志

アスパラガスというと、年配の方は1960年代に毎日のようにテレビから流れていた弘田三枝子の製薬会社のCMソング「アスパラで生きぬこう」を思い出すかもしれません。うま味成分のアスパラギン酸は疲労回復やスタミナ増強に効果があるといわれています。

アスパラガスは呼吸作用が盛んで、品質が低下しやすい野菜です。高速道路網とコールドチェーン(低温流通体系)が整備されるまでは、アスパラガスといえば高価な缶詰のホワイトアスパラガスでした。1970年代に緑が鮮やかで歯切れの良いグリーンアスパラガスがスーパーに並ぶようになりました。和洋中に向き、調理が簡単なので消費が拡大しました。

アスパラガスは野菜では珍しい多年生植物で、一度植え付けると10年くらい収穫を続けることができます。夏に茎葉が光合成で作った養分は根に蓄えられ、冬に地上部は枯れます。翌春、土を割って若茎が伸び、30cmくらいになったら収穫です。

アスパラガスは雌雄異株で、雌株は秋に赤い実を付けます。雄株の方が茎数が多く収量が上がるので、今は全部雄株になる交配種が主流です。きれいな赤い実をどうしても見たい場合は、「メリーワシントン500W」などの固定種を栽培します。

アスパラガスは取りたてが一番おいしいですが、保存する場合は穂先を上に立てて冷蔵庫に入れます。横に寝かせて保存すると、立ち上がろうとしておいしさの主成分の糖分やアミノ酸を消費してしまいます。

アスパラガスはユリ科に分類されてきましたが、DNAが決める新分類ではキジカクシ科になりました。アスパラガスはオランダ人によって長崎に伝えられたので、和名はオランダキジカクシ(和蘭雉隠)です。茎葉は初夏にキジが隠れるくらいの草丈1~2mに生い茂ります。その頃になるとキジが畑に出てきてケーン、ケーンと鳴きます。

藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

JA広報通信3月号より

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