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野菜もの知り百科 スイカ(ウリ科スイカ属)【JAコラム】

2020年07月22日コラム

土壌医●藤巻久志

南瓜(カボチャ)、胡瓜(キュウリ)、越瓜(シロウリ)、隼人瓜(ハヤトウリ)、苦瓜(ニガウリ)、冬瓜(トウガン)、糸瓜(ヘチマ)、甜瓜(マクワウリ)など、ウリ科野菜の漢字は来歴や特性を表したものが多いです。野菜も漢字も文化(カルチャー)で、カルチャーは「耕す」に由来し、派生語にアグリカルチャー(農業)があります。

原産地はアフリカ南部です。西域(シルクロード)経由で中国に伝わったので「西瓜」と書きます。日本へは16世紀ころに渡来し、明治時代には西欧の品種が奈良県でさらに改良されました。奈良県には今でもスイカの育種会社があります。

スイカの糖度は収穫適期間際になって急上昇します。1~2日早い若取りでも糖度不足になり、満足できる品質ではありません。昭和時代のスイカの収穫は生産者の経験と勘に頼っていたので、八百屋で買うスイカには「当たり・外れ」がありました。平成時代になると産地はスイカを切ることなく糖度や空洞などを調べる非破壊選果機を導入し、店頭に並ぶスイカに「外れ」はなくなりました。

家庭菜園では1株から子づるを3本伸ばし、大玉品種は2個、小玉品種は4個実らせるのが一般的です。交配した日を記入したラベルを付け、大玉品種は45~50日後、小玉品種は約35日後を目安に収穫します。

スイカは積算温度(毎日の平均温度を足したもの)が900~1000度で収穫適期になるので、4月に定植した物と5月に定植した物では、温度の低い4月の方が収穫までの日数はかかります。収穫の目安は他にも果実付近にある巻きひげが半分以上枯れる、果実の尻部がへこみ弾力が出てくる、果皮の光沢が鈍くなるなどがあります。

「収穫の判断は試し取りをする」と書いた本もありますが、家庭菜園では数個しか取れないので、試すなんてもったいなくてできません。

藤巻久志(ふじまきひさし) 種苗管理士、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。

JA広報通信6月号より

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