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おこわ【JAコラム】

2021年10月17日コラム

伝承料理研究家●奥村彪生

毎日、もち米を蒸したおこわを食べている民族がいることをご存じですか。ラオスやタイ、ベトナム、中国に住む少数民族です。私がラオスに1週間滞在したときも毎食おこわで、一口大にちぎって小魚の塩辛とトウガラシを付けて食べました。

インドネシア・スマトラ島のパダンでは、おこわを握って小エビの塩辛とトウガラシを塗って焼いたり、混ぜて揚げていました。サツマイモをのせ、フルーツのソースをかけたものもありました。中国の湖南省長沙市ではこしあんを詰めたおこわにフルーツを飾って甘いソースをかけた八宝飯(パーポウファン)を食べました。

タイやベトナムでもおこわはよく食べられていました。ところが、タイではこのごろ、農作業の機械化で汗水垂らして働かなくなりました。うるち米を電気釜で炊いて食べることも多くなりました。

日本でも、私の町の秋祭りでも若衆はおこわ(赤飯)は食べません。秋祭りのうたげは昔と異なり、焼き肉パーティーですから。それを見て、私は「ピーヒャララ 宴で残りし 赤まんま」と詠みました。

京都や大阪では朔日(ついたち)と15日は赤のまんまと決めていた家が多くありましたが、今はあまり食べられていません。ところが、私が指導しているスーパーではおこわが毎日よく売れるようになりました。鶏肉やゴボウ、ニンジン、シイタケ、レンコンなどをだしとしょうゆ、みりんで煮て、もち米に混ぜて蒸したものです。鳥取県の大山おこわに似ています。この具に油やカレー粉を加えてピラフ風にすると若い方に好評でした。もち粟入りも特に若い女性に人気。もち麦入りも面白がって食べていました。伝統を継承するためには、昔の味に時代性を加えることが必要です。伝統にこだわり過ぎると消えていくのみ。再考を。

JA広報通信9月号より

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